経験や勘に惑わさずに、新たな価値を創出する25の法則 - 前提の否定/次元拡張 -
前回は、経験や勘に惑わさずに、新たな価値を創出する25の法則(HIF25 フレームワーク) をご紹介させていただきました。今回は、実際にイノベーション(Innovation)により新しい価値創造に成功した実例を挙げながら、具体的な活用方法をご紹介します。hira2k.hateblo.jp
新しい価値を生み出す「 HIF25 フレームワーク 」の使い方
このフレームワークは、よく以下に示す3つのステップで検討頂きます。
- HIF25 フレームワーク 個々の意味や事例を解説
- 「逆算」による検討: 実在する複数の他社ケースをフレームワークに当てはめ分析・ディスカッション
- 「順算」による検討: 自社資源(ビジネスモデル・製品・商品・サービス等)でディスカッション
本フレームワークは、A4 や A3 一枚に収まりますので、紙に印刷し検討メンバー全員に配布したり、ホワイトボード・壁への張り出しやプロジェクターに写しながら検討・ディスカッションするスタイルがお勧めです。
ダウンロードは、こちら(SlideShare) から可能ですので、ご利用の際には、一言ご連絡や感想・フィードバックを頂ければ幸いです。
次に、具体的な活用法の一例をご紹介していきましょう。
【D】 前提・常識の否定
まず、私たち日本人 全員が陥りがちな罠を克服する「前提・常識の否定」です。
私達は、学生時代の長き教育期間に「 ある、お題目(設定課題)」を問われ、それに対する「 答え(解) 」を考える思考が、良くも・悪くも根付いています。
この、「お題目(設定課題)自体」を、疑う事なく"正しい"と信じてしまう事に大きな罠が潜んでいます。
つまり、新たな価値を創出する際の、最も大きな阻害要因の一つが、「 与えられた前提・要望・課題・条件を、疑う事なく、そのまま鵜呑みにてしまう罠 」です。
たとえば、下記のような状況の場合、あなたなら、どのように提案されますか?
下にスクロールする前に、少し考えてみてください。発想トレーニングになりますよ!
(つづく)
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(つづく)
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(つづく)
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みなさんは、どのような提案が発想できたでしょうか?
このディスカッションをすると、よく以下のようなアイディアがたくさん出てきます。
- 地域名産の食べ物を、モチーフとしたデザインのロゴ
- 地域の観光名所を、モチーフとしたデザインのロゴ
- 電車の形を、モチーフとしたデザインのロゴ
もし、上記と似たようなアイディアを考えられた場合は、例の罠にはまってしまっているかもしません。
そうです「 与えられた前提・要望・課題・条件を、疑う事なく、そのまま鵜呑みにてしまう罠 」です。
こんな時に活躍するのが、HIF25 フレームワーク に含まれる「前提・常識の否定」です。
「 そもそも、ロゴでいいのか? 与えられた前提は、本当に正しいのか?」といった設問への問いかける力(問いかけ力)が、非常に重要となります。
そして、上述の設問は、実は仮テーマではありません。
実際に、みなさんが誰でも知っている身近なイノベーションの実例でもあります。
九州新幹線開業に伴い、デザイナーへ「ロゴデザイン」の依頼がきっかけで誕生した、かわいらしいゆるキャラ。 そうあの「くまモン (Wikipedia)」誕生のストーリーです。
そして、この思考法と、とても相性がよく、是非 一緒に考えて頂きたい事が、下記に示す「次元拡張」です。
【X】 次元拡張
こちらは、多くの 新しい価値創造に頻出する思考法です。
当初、想定・設定されているレベルよりも、上位概念に登って捉え・考えて見る事をお勧めします。
くまモンの場合は、前提の否定に加えて、下記のような次元拡張がありました。
これは、新しいビジネスモデルや製品・商品・サービス開発においても、下記のような思考の拡張が可能です。
たとえば、Appleさんの iPod / iTunes よりも、早い段階で類似のサービスを開発・提供されたS社さんとの次元拡張レベルの違いは、下記の通りです。
この「前提・常識の否定」や「次元拡張」発想方法は、日々の課題・問題解決にも、適用できますので、是非ご活用ください。留意点として、日常業務で利用する場合は、次元拡張は、上位概念1~2段階程度に留める方が、話が飛躍しすぎず、ほどよい場合もあります。
あなたへ相談・提案があった「その前提」、本当に正しいですか?
平塚 博章