発想に "深み" を持たせ "分析力" を高める「 Cross-Square フレームワーク 」活用のすすめ
今回は、私がお仕事やプライベートで9年に渡って開発・活用しているフレームワークのマスター・テンプレートの1つである「 Cross-Square フレームワーク 」をご紹介します。
いつも利用されている身近な検討課題や題材に、ひと工夫するだけで、発想や検討の幅が広がったり、分析の深さが深まりますのでお勧めです。
例えば、ノート上でのMemoであったり、ホワイトボード上でのディスカッション、付箋(ふせん)を利用したワーク・ショップの場合などに、下記のような「2つの検討軸」を設定し考える機会がよくあります。
2つの検討軸
このような2軸(4象限)の検討をしている時に「もう一つ " 検討軸 " を 追加したいのに、それだと 3D(三次元)になってしまい、ホワイトボードでは無理・・・」となってしまい、あきらめてしまう時がありますよね。
「 Cross-Square フレームワーク 」
そのような時に、お役にたつのが、私が開発した「 Cross-Square フレームワーク 」です。
上記のように、「 十字(Cross)」の上に「 四角(Square)」を記載するだけです。
そうする事で、「 もう一つの検討軸 」が追加され、発想に「深み」を持たせ「分析力」を高める事が可能となります。
検討の際には、下記のように8象限に番号「①~⑧」をつけておくと「⑥領域の件については・・・」と説明やディスカッションがしやすくなります。
具体的な活用例
次に具体的な活用例を見てきましょう。
下記は有名な時間管理マトリックスです。
上記の時間管理マトリックスだけでも一般的には非常に有効と言われていますが、私はこれだけでは不十分だと考えています。
例えば、仕事のタスク管理を上記のフレームだけで実施すると、仕事上のタスクは非常に効果や成果が得られますが、仕事人間になってしまう問題がありました。
上記フレームを私が9年前に作成した「 Cross-Square フレームワーク 」を活用し、完成させたフレーム・ワークが、下記の私のオリジナル開発「 Work-Life Integration※ Matrix 」です。
* Work Life Integration(ワーク・ライフ・インテグレーション):
自らの人生観を軸に、ワーク(職業生活)とライフ(個人生活)を柔軟、かつ高い次元で統合し、双方の充実を求めること。仕事と生活を対立的にとらえ、その量的バランス調整・回復を目指す、従来の「ワーク・ライフ・バランス」発想を一歩進めたもの(出典:コトバンク)
「 お仕事上で大切なとりくみ 」と 「 プライベートで大切なとりくみ 」を記入する欄を独立させる事により、常に両方を意識しながら活動や行動ができるようになります。
仕事上のタスクをたくさん記入していると、プライベート・ゾーンにほとんど埋まっていない事(空白状態)に、「ハッと」気づき対策する事も可能です。
十字線(Cross)を引き、中に四角(Square)を書くだけという、簡単に活用できるフレームワークであり、さまざまな用途で活用できますので、是非ご利用ください。
あなたは、どの検討に「Square」を追加しますか?
不明点やご意見・感想はこちらまで一言ければ幸いです。
平塚 博章 (Hiro)
イノベーションは、「 多数決 」 からは生まれない。 -新しいアイディア創出を阻害する罠・処方箋-
私は「 アイデア着想会 ~知恵の輪~ 」の代表として、六本木アカデミーヒルズにて講義とワークショップ、ファシリテーションを開催・担当させて頂く事があります。
先日、開催したワークショップで、参加者の方から、下記のような質問を頂きました。
「 アイディアや検討の軸を、" 多数決 " で決める事は、正しい事なのでしょうか? 」
この頂いた質問に対して、下記のような考え方があります。
これは、これまでイノベーションが誕生した「背景」や「取り組み」に下記のような共通点があるからです。
- ほぼ全員から猛反対 (例:20人中、18~19名が反対)
- 強い「想い」と「情熱」(反対されても、主張し続ける、周囲を巻き込む)
- 結果を出すまでに絶対にあきらめない「信念」 (結果を出すまで行動し続ける)
なお、「 イノベーションは、多数決からは生まれない」は、1つの考え方であり、「多数決」そのものを否定する意図では用いておりません。
総意を求めた方がいい局面の場合は有効な手段といえます。スタンフォード流「デザイン思考」で知られている 一般社団法人デザイン思考研究所 が提供されているワークショップでも「付箋」や「シール」を活用した投票プロセスが紹介されています。
「デザイン思考」については、ワークショップに参加頂き、実際に体験頂く事を強くお勧めしますが、SlideShareでも入門編 と マスター・クラス の詳細スライドが公開されています。
正確には「 イノベーションは、必ずしも "多数決"から生み出されるものではなく、 "多数決"により、イノベーションの原石を見落としてしまう事がある 」といった所でしょうか。
新しいアイディア創出の為に、リーダーや経営者が取り組むべき事
みなさんの会社やチームでも、下記のような取り組みをする事をお勧めいたします。
- 少数派、第三者の意見を尊重する
⇒ ほぼ全員が反対するような内容にイノベーションの原石やヒントが含まれている事があります。原石を「ただの石」とみなすのか、磨いて「ダイヤ」にするのかは、その捉え方次第で大きな違いを生み出します。 - 発言がほとんどない/少ない人 や 声の小さい人の声をしっかりと聴きだす
⇒ 権力や主張の強い人の意見に左右されないファシリテーションやメンバー構成も重要です。 - 新しい挑戦を積極的に推進・評価する環境整備
⇒ 失敗率が高い「新しい挑戦」の行動や失敗を酷評した瞬間、新規アイディアは何も生み出されなくなり、負のスパイラルへ突入してしまいます。
あなたは、ダイヤの原石に気づけますか?
平塚 博章 の 「やりきる力」 × 「生み出す力」 - 仕事や人生が、ちょっと楽しく・クリエイティブになるかもしれないヒント
自分・他者・チーム・組織が変わる! 建設的・実用的に改善できる 『 魔法の言葉 』 とは? - たった1つの問い -
今回は、「行動変容」に関する、より良い「自分作り」や「組織作り」に関連したお話を紹介します。Work Life Integration (*) の実現や改善にも活用できますよ!
* Work Life Integration(ワーク・ライフ・インテグレーション):
自らの人生観を軸に、ワーク(職業生活)とライフ(個人生活)を柔軟、かつ高い次元で統合し、双方の充実を求めること。仕事と生活を対立的にとらえ、その量的バランス調整・回復を目指す、従来の「ワーク・ライフ・バランス」発想を一歩進めたもの(出典:コトバンク)
みなさんは、「自分」や「所属(経営)されている組織」の「課題」を発見する際に、どのようにしていますか?
「 問題点や改善点について教えてください 」とリクエストした際に、アドバイスを求めた方々から、下記のようなパターン発言に陥り、改善点を見つけられなかったり、ショックを受けて落ち込んでしまう事もあるかもしれません。
パターン1: 本音で話してくれずに、いい事ばかり発言。求めている助言が得られない
- 「 いやー よかったよ。特に改善点はないと思うよ 」
- 「 うーん そんな事いきなり言われても、思いつかないなぁー 」
- 「 改善点なし! あなたは、あたな流で、これまで通りでいいと思うよ 」
パターン2: 問題点・愚痴ばかりを挙げ、建設的な助言が皆無。中には他責や人格否定的な内容も...
- 「あなたは、いつもこうです。だから駄目なんです」
- 「うちの製品は、既に製品力がないから無理」
- 「どうせ、○○○さんは、○○○○○な人だから、何を言っても意味ないよ」
この問題の原因の1つに「 問題点や改善点について教えてください 」というリクエスト方法そのものが、問題点や愚痴が出やすくなってしまう問いであるという事です。
このような場合に、お勧めするのが、下記 『 魔法の言葉 』 です。
たった1つの問いかけで、建設的・実用的に改善しやすい場作りと意見交換ができます。
具体的な、使い方
<お仕事編>
- どうすれば、私は、より良い 経営者 / 上司(先輩) / 部下(後輩) になれますか?
- どうすれば、私は、より良く(多く) 事業部に貢献する事ができますか ?
- 昨日の講演で、どうすれば、私は より良い 講師 になれますか?
- どうすれば、○○さんは、より良い ファシリテイター になれると思いますか?
- どうすれば、私は、より良い リーダー になれますか?
- どうすれば、私達は、より良い プロジェクト・チーム になれますか?
- どうすれば、我が事業部は、より良く 楽しく・快適にお仕事ができる組織になりますか?
<プライベート編>
- どうすれば、私は、より良い 彼氏 (彼女) になれますか?
- どうすれば、私は、より良い 夫 (妻) になれますか?
- どうすれば、私は、より良い 父親 (母親) になれますか?
- どうすれば、私は、より良い お父さん (お母さん) になれると思う?
- どうすれば、あなたは、より良い 息子 (娘) になれると思いますか?
- どうすれば、家族に より良い 治療やリハビリをしてあげられますか?
- どうすれば、次回の旅行は より良く 有意義に楽しく過ごせると思いますか?
「 どうすれば、より良くなるか? 」という問いかけを行う事で、課題よりも改善点にフォーカスされ前向きな意見やアドバイスを得られやすい点がポイントです。
同じミッションを持った部門やチーム内でのディスカッションや 組織横断チーム、全社的な活動 、1:1での対話やコーチング や セルフ・マネジメント にも活用できます。
この「魔法の言葉」は、2014年に来日された、エグゼクティブ・コーチングを実施されている第一人者 マーシャル・ゴールドスミス (Marshall Goldsmith) さんのお言葉です。グローバル戦略を実現する人づくりをサポートされている人材育成組織「 AMA (American Management Association) 」で、講師や教材開発をされている上田さんよりご紹介頂いた内容をヒントに執筆させていただきました。
どうすれば、当Blogが、より良い 価値ある情報を、お届けできますか?
感想やコメントを一言ければ幸いです。
平塚 博章
経験や勘に惑わさずに、新たな価値を創出する25の法則 - 前提の否定/次元拡張 -
前回は、経験や勘に惑わさずに、新たな価値を創出する25の法則(HIF25 フレームワーク) をご紹介させていただきました。今回は、実際にイノベーション(Innovation)により新しい価値創造に成功した実例を挙げながら、具体的な活用方法をご紹介します。hira2k.hateblo.jp
新しい価値を生み出す「 HIF25 フレームワーク 」の使い方
このフレームワークは、よく以下に示す3つのステップで検討頂きます。
- HIF25 フレームワーク 個々の意味や事例を解説
- 「逆算」による検討: 実在する複数の他社ケースをフレームワークに当てはめ分析・ディスカッション
- 「順算」による検討: 自社資源(ビジネスモデル・製品・商品・サービス等)でディスカッション
本フレームワークは、A4 や A3 一枚に収まりますので、紙に印刷し検討メンバー全員に配布したり、ホワイトボード・壁への張り出しやプロジェクターに写しながら検討・ディスカッションするスタイルがお勧めです。
ダウンロードは、こちら(SlideShare) から可能ですので、ご利用の際には、一言ご連絡や感想・フィードバックを頂ければ幸いです。
次に、具体的な活用法の一例をご紹介していきましょう。
【D】 前提・常識の否定
まず、私たち日本人 全員が陥りがちな罠を克服する「前提・常識の否定」です。
私達は、学生時代の長き教育期間に「 ある、お題目(設定課題)」を問われ、それに対する「 答え(解) 」を考える思考が、良くも・悪くも根付いています。
この、「お題目(設定課題)自体」を、疑う事なく"正しい"と信じてしまう事に大きな罠が潜んでいます。
つまり、新たな価値を創出する際の、最も大きな阻害要因の一つが、「 与えられた前提・要望・課題・条件を、疑う事なく、そのまま鵜呑みにてしまう罠 」です。
たとえば、下記のような状況の場合、あなたなら、どのように提案されますか?
下にスクロールする前に、少し考えてみてください。発想トレーニングになりますよ!
(つづく)
↓
(つづく)
↓
(つづく)
↓
みなさんは、どのような提案が発想できたでしょうか?
このディスカッションをすると、よく以下のようなアイディアがたくさん出てきます。
- 地域名産の食べ物を、モチーフとしたデザインのロゴ
- 地域の観光名所を、モチーフとしたデザインのロゴ
- 電車の形を、モチーフとしたデザインのロゴ
もし、上記と似たようなアイディアを考えられた場合は、例の罠にはまってしまっているかもしません。
そうです「 与えられた前提・要望・課題・条件を、疑う事なく、そのまま鵜呑みにてしまう罠 」です。
こんな時に活躍するのが、HIF25 フレームワーク に含まれる「前提・常識の否定」です。
「 そもそも、ロゴでいいのか? 与えられた前提は、本当に正しいのか?」といった設問への問いかける力(問いかけ力)が、非常に重要となります。
そして、上述の設問は、実は仮テーマではありません。
実際に、みなさんが誰でも知っている身近なイノベーションの実例でもあります。
九州新幹線開業に伴い、デザイナーへ「ロゴデザイン」の依頼がきっかけで誕生した、かわいらしいゆるキャラ。 そうあの「くまモン (Wikipedia)」誕生のストーリーです。
そして、この思考法と、とても相性がよく、是非 一緒に考えて頂きたい事が、下記に示す「次元拡張」です。
【X】 次元拡張
こちらは、多くの 新しい価値創造に頻出する思考法です。
当初、想定・設定されているレベルよりも、上位概念に登って捉え・考えて見る事をお勧めします。
くまモンの場合は、前提の否定に加えて、下記のような次元拡張がありました。
これは、新しいビジネスモデルや製品・商品・サービス開発においても、下記のような思考の拡張が可能です。
たとえば、Appleさんの iPod / iTunes よりも、早い段階で類似のサービスを開発・提供されたS社さんとの次元拡張レベルの違いは、下記の通りです。
この「前提・常識の否定」や「次元拡張」発想方法は、日々の課題・問題解決にも、適用できますので、是非ご活用ください。留意点として、日常業務で利用する場合は、次元拡張は、上位概念1~2段階程度に留める方が、話が飛躍しすぎず、ほどよい場合もあります。
あなたへ相談・提案があった「その前提」、本当に正しいですか?
平塚 博章
斬新なアイディアを生み出す「思考方法」 とは? - 経験や勘に惑わさずに、新たな価値を創出する25の法則 -
みなさんは、こんな経験はありませんか?
- これまでになかった新しい取り組みや事業のアイディアが全然浮かばない
- Innovation、Innovation!とは言われているが、何をどう考えればよいか不明?
- 思いもしなかった斬新なアイディアが思いつかない
- 気が付くと、いつもの考え方・発想しか思い浮かばない
- ゼロベースで考えよ!と言われても、何をどうすればいいか分からない?
そんな時に、お勧めするのが、下記の思考フレームワーク(HIF25)による25の考え方です。このフレームワークは、これまで実際に、Innovation を生み出した方々へのインタビューやディスカッションを通じて得られ・気づいた「共通の規則性」や「法則、成功要因」を、フレームワーク化して作成し、継続的に改訂し続けているものです。
発想限界を打破する Creative Thinking & Innovation フレーム・ワーク
- Hira2k Innovation Framework 25 (HIF25) -
当初は、シンプルなものでしたが、改訂を重ね現在の形となりました。
直近2~3年は、ほぼ改訂する事なく、多くのイノベーションやビジネスモデルが本フレームワーク上で分類できるようになっています。
経験や勘に、惑わされず、新たな価値を創出する25の法則(HIF25)
- 【+】 足し算
- 【-】 引き算
- 【×】 掛け算
- 【÷】 割り算
- 【D】 前提・常識の否定
- 【R】 反転・逆転
- 【X】 次元拡張
- 【B】 拡大
- 【G】 極める・進化・強化
- 【S】 縮小
- 【W】 シンプル・簡素・劣化
- 【U】 用途・ユーザ変更
- 【P】 プロセス・順序変更
- 【A】 素人、新人、中途、部外者、現地
- 【I】 業界長年の問題・課題・制約
- 【O】 他業界、他製品、他部門
- 【N】 自然の法則・生き物の本性
- 【E】 コア技術・資産の活用・進化
- 【L】 自分がほしい・利用したい
- 【C】 これらの組み合わせ
- 聞いた人が、思わず他人に話したくなるようなコンセプトやストーリーがある
- ほぼ全員から猛反対。特に役員・経営層
- 強い「想い」と「情熱」
- 結果を出すまで絶対にあきらめない「信念」
- 中・長期的な活動、数年~20年越し
次回は、このフレーム・ワークの具体的な活用方法と事例について、ご紹介予定です。
経験や勘に惑わさずに、新たな価値を創出する25の法則 - 前提の否定/次元拡張 -
平塚 博章 の 「やりきる力」 × 「生み出す力」- 仕事や人生が、ちょっと楽しく・クリエイティブになるかもしれないヒント
7秒で完成! 「新しい行動」 を自分にものにする、お手軽フレームワーク 「 4-Lines 」活用のすすめ
みなさんは、こんな経験はありませんか?
- いつかは、始めたいと思っている事はたくさんあるが、なかなか 行動に移せない
- 目先の仕事や家事に追われて、新しい事 や 中長期的な事 を、始められない
- 何か始めよう・挑戦しよう! と思っているが永遠にその日は、こない・・・
- 気がつくと「 いつもの慣れた行動・活動しかしていない・・・ 」という状況
(いつもの人と、いつもの場所で、いつもの時間に、いつもの活動)
このような事は、お仕事においても、プライベートにおいても、よく発生しがちな課題です。この問題を解決する為に、いろいろな手法やフレームワークを開発・実践しておりますが、今回はその中でも、7秒で簡単に利用できるフレームワーク をご紹介します。
それが、下記の 「 4-Lines 」です。これは、私自身が企業向けのワークショップやディスカッション、セルフマネジメントの過程で作成・改良したものです。
手順は、4本の線を書き、以下のように記載します。
意味が分かってくれば、記号だけでOKです。これなら7秒でかけますよ!
そして、あなた や 組織 が、改善したい活動や行動、新規に取り組みたい活動を、ドンドン思いついた順番に記載していきます。
行動変容で重要なのは、「 増やす・改善する ↑ 」領域 と 「 はじめる + 」領域を如何に意識しつづけるかどうかです。使い方としては下記のSTEPで取り組みます。
< 4-Lines 記入後 の使い方 >
- 「 はじめる + 」領域で「 特に重要 かつ 行動したい 」内容を1~2個に絞る
- SMATR 100 を利用し 具体的な行動に分解設定する
- 設定した行動を、スケジュールに反映(ツールや手帳など)
- 家族・同僚・上司・部下・仲間に宣言しシェアし、サポートしてもらう
- 毎日(毎週)活動を確認し、「 4-Lines 」の「 増やす ↑ 」 と 「 はじめる + 」に関連した思考や行動ができているか確認&軌道修正
- 定着・習慣化してきたら、「既存の行動強化」 や 「新しい行動」 を追加設定
人が、よく失敗や挫折してしまう事は、最初からいろいろと、欲張ってしまい多くの目標や行動を設定してしまう事です。経験した事のない初めての試みは、いろいろな困難や想定外の苦労も複数あり、何回かできない事も当然あり 挫折しかけます。
だからこそ、上記「1.」の 重要行動を1~2個に絞り、スタートでつまずかないように敷居を低くする取り組みが必要です。
お仕事とプライベートの両方を、それぞれ意識して記載したい方は、下記のように、1本 線を追加して 「 5-Lines 」にする事をお勧めいたします。
「プライベート」 と 「お仕事」 のどちらか片方ではなく、両方をリストアップする事により「気づいたら、仕事の事しか書けてない・・・」といった状態にカンタンに気づけますので、Work Life Integration (*) の改善や実現にもつながります。
* Work Life Integration(ワーク・ライフ・インテグレーション):
自らの人生観を軸に、ワーク(職業生活)とライフ(個人生活)を柔軟、かつ高い次元で統合し、双方の充実を求めること。仕事と生活を対立的にとらえ、その量的バランス調整・回復を目指す、従来の「ワーク・ライフ・バランス」発想を一歩進めたもの
(出典:コトバンク)
気がつくと「 いつもの慣れた行動しかしていない・・・ 」という状況を打破したいと、お考えの方は是非お試しください。
あなたの活動に「+」領域 は、いくつ含まれていますか?
今回は「やりきる力」に関連した内容でしたので、次回は「 生み出す力(Innovation/Creative Thinking)」に関する内容を、ご案内いたします。
平塚 博章
確実な行動と成果を生み出しやすくする「SMART 100」による良質な"目標設定"の立て方 (2)
前回の記事「 確実な行動と成果を生み出しやすくする「SMART 100」による良質な"目標設定"の立て方 (1) 」では、挫折しやすい目標を、確実な行動につながりやすい良質な"目標設定"へ進化させる フレームワーク 「 SMART 100 」 を紹介しました。
今回は、この SMART 100 フレームワークの「具体的な使い方」 や 「よくない目標設定例」、「よい目標設定例」について、ご案内していきます。
前回の記事を、ご覧になっていない方は、こちらをご覧ください。
あなた や 組織、チームで設定・指示した行動は、SMART 100 に準拠 していますか?
代表的な「 要注意キーワード 」を設定・発見した時は、見直すタイミングかもしれません。
「 SMART 100 」フレームワーク「具体的な使い方」
このフレームワークは、意外とカンタンに利用できます。
大まかな流れは以下の通り 5ステップ です。
- 実現したい「 目標 (≠行動)」を決める (目標と行動は明確に分離)
- 目標の実現に直結する「具体的な行動」を、SMART 100 形式で記載
- 週次 または 日次の行動スケジュール帳へ反映
- 行動が実施できたかどうかを確認・振り返りするタイミングをあらかじめ決定
- 設定した行動を開始し、内容や量を調整しながら行動を継続し習慣化
では、SMART 100 の具体的な活用例(ある企業Aからの相談内容)を挙げ、どのように検討・設定していくのか、みなさんの組織や個人目標を思い描きながら考えていきましょう。
【 ある企業Aの相談内容:課題 】
同じ製品やサービスを担当している同一事業部の組織であるにも変わらず、顧客や地域により担当や地域が分散化されており、同じ組織内での「情報共有」や「コラボレーション」が上手く機能せずに、営業職や技術職が、非効率な重複作業をして疲弊、提案品質も劣化しているケースが多発して困っています。
本来ならば、成果物や気づき、ナレッジを蓄積し可視化し、再活用する姿が望ましいのですが、目先の営業目標や日々の活動に忙殺されてしまい、チームや組織として必要な活動の優先度やモチベーションが低下してしまい、各社員やスタッフがこのような情報共有に非協力的(ごく一部の社員のみ実施)です。
中には、成果物や情報を共有せずに自身でのみ保持する事で、(リストラなどされないように)自分の役割や立場の優位性、ポジションの確保をしている社員もいます。
経営トップや管理職により、指示を出しても「やらされ感」が満載で、ほとんど実施しないといった状態になった事もあるような「自転車操業 状態」をなんとかしたい。
【 ある企業Aの相談内容:目標 】
課題山積ではあるが、まずは「 情報共有やコラボレーションを積極的に実施する風土を醸成する為のチーム育成 」をなんとかしたい
よくない目標設定例
上記のような状況は、企業Aに関わらず、どの組織でも発生しがちであり 頻繁に ご相談頂く課題です。このような課題に対して、私達が陥りがちな目標設定の罠(ワナ)から見ていきましょう。
【 最初に設定されていた 目標 と 行動 】
当初、企業Aの担当者は、上記目標を達成を目指し、以下のように設定されていました。
「 我が事業部では、競争力強化や生産性・品質の向上を目的として成果物の共有 および再活用を随時、適切に実施する事。」
【 SMART 100 による、行動の妥当性Check ・・・ 初回 】
上記の企業Aの担当者が当初設定した「行動」が適切かどうか、SMART 100 に当てはめて考えてみましょう。
「 我が事業部では、競争力強化や生産性・品質の向上を目的として成果物の共有 および再活用を随時、適切に実施する事。」
1. Specific (具体的 かつ あいまいな表現の徹底排除)
⇒ × 具体的ではない。(例: 何が「適切」かは人によって個人差が激しい)
2. Measurable (測定・計測可能)
⇒ × 測定不能 (例: 随時とは、毎日? 毎週? 月に2回?、確認しようがない)
3. Attainable (達成可能)
⇒ × 何をもって達成したと言えるのか、指示をした人も、現場も不明確
4. Realistic (現実的、特に初期は無謀な内容や量にならないように)
⇒ × 具体的な行動に分解されていない為、現実的かどうか判断不能
5. Traceable (第3者も、トレース・管理可能:上司・部下・同僚・家族・知人等)
⇒ × 第3者も、具体的に認識できる行動に表現されていなくトレース不可
6. 100 (新人・初心者100人でも、バラつきなく完全に同じ行動ができる)
⇒ × 100人とも、異なる行動になってしまう。
【 SMART 100 による、行動の妥当性Check ・・・ 担当者による改訂(1) 】
その後、SMART 100 の説明を簡単に担当者の方々に行いました。そして「目標」と「行動」を分離して、記載頂くようお願いした直後に修正頂いた目標が以下の改訂版(1回目)です。
■ 改訂前
「 我が事業部では、競争力強化や生産性・品質の向上を目的として成果物の共有 および再活用を随時、適切に実施する事。 」
■ 改訂後 (1回目) ・・・ 未完成
目標:「 我が事業部は、競争力強化や生産性・品質の向上を実現する 」
行動1:「 提案活動を通して作成した成果物(提案書、技術資料、プレゼン資料、商材説明資料、等)の共有を、毎週 金曜日の10:00amまでに、1人 1件以上、システムに登録する 」
行動2:「 チームメンバーが共有した資料や情報に対して、週に1件以上、フィードバックする事 」
上記「行動1」、「行動2」は、一見 SMART 100 に準拠しているように見えますが実は不完全(罠:ワナあり)です。
不完全かどうかを、簡単にチェックする役割を担っているのが、SMART 100 の 「 100 (新人・初心者100人でも、バラつきなく完全に同じ行動ができる) 」の部分です。
「行動1」のバラつき例 ・・・ " システムに登録 "
・新人Aくん: そうか、ナレッジ共有システムX に 登録すればいいんだね
・新人Bくん: そうか、新設されたナレッジ共有システムY に 登録すればいいんだね
・新人Cさん: メールに添付してチームで共有すればいいのかな?
・新人Dさん :「システム」って何?
「行動2」の行動バラつき例 ・・・ " フィードバックする事 "
・新人Eくん: なるほど、合う機会があれば、声かけて話しておけばいいのかな
・新人Fくん: なるほど、成果物を共有したシステムのコメント機能を使えばいいね
・新人Gさん: 先輩方に聞いても、みんな言ってる事違うし何すればいいの?
・新人Hさん:「フィードバック」って、そもそも何する事?
このようなバラつきが発生する行動設定が、実際の現場の施策や指示、マニュアル等では多発していますので、みなさまの組織やチームでの施策や設定内容を見直してみる事をお勧めいたします。
よい目標設定例
では、最後に SMART 100 に準拠した正しい設定例を見てみましょう。
【SMART 100 による、行動の妥当性Check ・・・ 担当者による改訂(2) 】
目標:「 我が事業部は、競争力強化や生産性・品質の向上を実現する 」
行動1:「 提案活動を通して作成した成果物(提案書、技術資料、プレゼン資料、商材説明資料、等)の共有を、毎週 金曜日の10:00amまでに、1人 1件以上、新ナレッジ共有システムY ( http://xxxx.xxx.xxx ) に登録する 」
行動2:「 チームメンバーが共有した資料や情報に対して、週に1件以上、新ナレッジ共有システムY ( http://xxxx.xxx.xxx ) のコメント機能を利用して、フィードバック(よかった点、こうすればもっとよくなる、xxx案件で活用できた、この資料のお蔭でxx時間短縮できた等のコメント)する事 」
行動設定で重要な事は、「 自分の常識は、かならずしも他人の常識ではない 」という事です。
対象者の経験値や知識レベルによっては、上記の行動内容よりも、より具体的に噛み砕いて行動分解し設定する必要もある配慮も必要です。
次回は、『 7秒で完成! 新しい行動を自分にものにする、お手軽フレームワーク 「 4-Lines 」活用のすすめ 』を、ご紹介予定です。
当Blog内容について、不明点・ご意見・ご要望など、何かありましたら お気軽にご質問ください。